真冬 「先生、紹介します。この人が僕が話していた橘那由多くんです」

那由多「え? あ、あのっ、はじめまして、た、橘那由多です」

紫葉 「……Dr.紫葉だ」

ぶっきらぼうにそう名乗って、その男はこちらに視線を向けた。

全身黒ずくめの中で、晒された素肌がやけに青白く際だつ。

鈍い銀色の髪は薄く青みがかっていて、どこか無機質な鉱物のように見えた。

肌も、髪も、そして何より眼鏡の向こうの金茶色の瞳も、すべてが他者を寄せつけぬ冷たさをたたえていた。

視線を一身に浴びている那由多まで凍ってしまいそうなほど。

©tangentθ All rights reserved.