那由多「とってもおいしいです!」

真冬 「よかった」

那由多「真冬先輩は、卵焼きは甘い派なんですね」

真冬 「うん。那由多は?」

那由多「僕も甘い派です」

真冬 「気が合うね。あ、これも食べてみてよ」

真冬 「はい、こんどはちゃんと」

フォークに刺さったミートボールが那由多の口元に差し出された。

フォークを取ろうと出しかけた手が、行き場を失って宙をかく。

真冬は相変わらずにこにこ笑っていた。

ミートボールは差し出されたまま。

フォークを渡す気配はない。

これは俗に言う『あーんして』という状況なのではないだろうか。

だが学食でこれはさすがに無理だ。恥ずかしい。

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