無造作に貼られた紙には極太の油性ペンで大きくこう書かれていた。
『来たれゼミに! 越えろセカイ! お前の欲しいものはここにある(主に単位とか)』
那由多「これって……!? もしかして……!?」
ふいに現れた、希望の文字に那由多は驚きを隠せなかった。
が、次の瞬間すぐにその驚きを飲み込んだ。
那由多「……こんないいタイミングで、こんなチラシがあるはずが無いよな」
こんなペンで殴り書いた適当なチラシ、誰でもすぐに作れる。
きっと誰かがイタズラでここに貼ったに違いない、と那由多はチラシを眺めながら軽くため息をついた。
那由多「……でも、僕が単位が足りないってことはまだ誰も知らないはず……」
そう思うと、少し何かが引っかかるような気がした。