真冬 「那由多は、ここに来たい理由があったから、ここにいるんだよ。だから、昔のことがどうであれ、それでいいんじゃないかな」
那由多「先輩……?」
真冬の声がいつもと違う。どこか張りつめていて、苦しそうだ。
泣いているようにも聞こえるその声に驚いて、那由多は真冬のほうへ身体を向ける。
彼は、まっすぐ天井を見つめていた。
真冬 「僕からしてみれば、君は自分の希望を叶えて、そして望まれている。うらやましいよ」
那由多「……あの」
真冬 「なに?」
那由多「先輩は、どうしてこの学園に来たんですか?」
真冬 「……僕のことなんか聞いてどうするの?」