那由多「…………ひっ」
鏡の中の自分には、頭から顔から胸にまで、
赤黒い何かがべったりはり付いていた。
遅れて、鉄錆のような臭いに気づく。
これは……
那由多「あ、ああ……これっ!!? 血!? 血が!! わああああ!」
那由多「え? あ……? なにこれ、なんだこれ?」
頬をぬぐった手にも、赤黒い液体が付着する。
体のどこにも痛いところはない。自分は怪我などしていない。
だとすれば、これはいったい誰の血だ……。